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ギャーギャーと巽が喚いている時に、巡の前に座る男、天羽大介が話しかけてきた。
「相変わらずやかましいな、藤堂」
「だよな、大介」
「ひどいw」
天羽大介。巡と巽のクラスメイトで友人。落ち着いた雰囲気で、常識がある。風紀委員に所属しており、学園の治安を守る仕事をしている。
側から見るとまったく性格の異なる三人が集まっている。
不思議だと思う人も少なくはない。
だが、波長が合ったのだろう。
3人でいるところを見かけることが多い。
「綾瀬」
「うん?」
「相変わらず、か」
「あー、そうだな」
「俺からも一応注意はしてるんだけどな」
「うん、助かってるよ」
「ならいい」
「ねぇ、話の続き、してもいい?」
話したくてウズウズしていた巽に気づき、「あぁ、どうぞ」と再び話を聞いてあげる。
「その王道転校生は転校して、あっという間に生徒会に惚れられるのだ!!」
「なんでだよ」
「ほら、生徒会のみんなって遠巻きにされてるじゃん?見た目とか地位とか関係なく近づいてくる転校生を好きになっちゃうわけよ」
「なるほどなぁ」
「それに、転校生の見た目が面白いよ!!見た目が可愛すぎるため、心配した理事長が変貌するようにともじゃとした鬘と瓶底眼鏡をあげる。
根暗転校生の完成~ってね!!」
「本当にそんな奴が来るのかよ」
「腐男子の勘がそう告げている!!」
「藤堂、お前、病院行った方がいいよ」
「大介くん、ひどくない??俺は至って正常です!!」
「なぁ、綾瀬。今年はどの委員会に入るんだ?」
「そうだなぁ。静かに過ごしたいから今年は入るのやめようかな」
「2人で無視しないで!!」
そうしている間に担任の先生が入ってきた。
この学園は3年間、クラスが変わらない。それと同時に担任も変わらない。
「ホームルーム始めるぞー」
めんどくさそうにそう言った担任ーー宮前叶は教師らしかぬ容姿をしている。
金髪で、ピアス、ネックレス、派手なスーツを着ている。
まぁ、見た目だけで言うと、
「ホスト先生w」
「あ?黙れ、藤堂。お前だけ課題倍にしてやろうか?」
「すみませんでした」
…巽が代わりに言ってくれた。そう、その通り。ホストのような見た目である。
でも、頼れる大人だ。
え?なんでそう思うかって?
ま、おいおい話してやるよ。
ホームルームはあっという間に進む。叶のホームルームは簡潔でわかりやすく、早いと生徒からの評判が高い。
今日もいつものように早くホームルームが終わるはずだった。
叶から衝撃の言葉がーーーー。
「あ、そういえば今度、転校生来るぞ」
「王道転校生、キタコレ!!!」
興奮する巽。
めんどくさそうに顔を歪めた大介。
まじかよ。
巡は空を仰ぐように、顔を上げた。
ーーー平穏な日々が遠ざかっていく。その始まりである崩壊の音が聞こえたような気がした。
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