とある理事長室の会話①

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 誰もいない放課後。理事長室への長い道を歩く一人の影。  その影は、理事長室の扉をノックした。  「ーーです」  「どうぞ」  扉の向こうには優雅に紅茶を飲む颯太がいた。窓から光が差し込まれていて、その光がひどく眩しかったのか、青年は手でかざした。  「やぁ、ーーくん」  颯太が優しい微笑みを浮かべて、青年を手招きをする。  青年は軽く頭を下げて、ソファに腰掛けた。秘書に用意された紅茶を一口飲む。  「この学園に来てから1ヶ月になるが、どうかね?」  「今のところ、不審な動きはありません」  「そうかい。ーーこの学園、面白いでしょ?」  「問題児しかいなくてびっくりしてますよ」  青年は困ったように笑う。  颯太もその話を聞いて、「あははっ」と大笑いをした。  「慣れたかな?」  「男同士での恋愛が当たり前ってことですか?」  「そうだね。それもあるが、学生として過ごすのも慣れたかな?」  「まぁ、慣れたくないですが、適応能力は高いと思ってるので」  青年の赤い目が光る。  「それにしても、さすがだねぇ。まだバレてないんでしょ?」  「はい。人数が多くて助かっています。そのおかげで俺と言う“人間”が認識されないで済むのですから」  さらに一口飲む。  颯太は感心、感心と頷く。
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