とある理事長室の会話①

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 「颯太さん」  「うん?」  「この学園はあなたとあの人が造ったんですよね」  「そうだよ」  青年の言うあの人とは誰だろうか。  「この学園、問題児しかいないけど、まぁ、楽しいですよ。いい学園ですね」  「君にそう言ってもらえるなんて、光栄だな。あいつにも聞かせてやりたかったよ」  「…」  「あいつは、本当に君のこと、大事に思っていたからねぇ」  そう話す颯太の目は優しくて。まるで、愛おしいと言っているみたいに。  「颯太さんは、あの人のこと、どう思っていたんですか?」  青年の問いかけに、颯太は目を大きく見開いた。  「颯太さんは俺が小さい時からお世話になっています。昔から見ているんです。あなたが、あの人を見る目が…」  「うん、そうだね。親友…といえばいいかな。あいつは僕のことを親友だと思っていただろうけど、僕はそれ以上の感情を抱いていたよ。  軽蔑するかい?」  「いいえ。そうだろうとは薄々思っていました。嬉しいです。あの人のことを想う人があなたで」  青年は紅茶を飲み終えると、ソファから立ち上がった。そして、  「ごちそうさまでした。  では、俺はまた生徒として紛れさせてもらいます」  そう言って、扉の向こうに消えた。  「…強くなったなぁ、ーーくん」  颯太は机の引き出しからある一枚の写真を取り出す。  そこには、  穏やかな笑顔ではなく、思い切って大笑いする颯太がいた。その隣には、怖い顔をしてはいるが、優しい瞳をする男がいた。  「見てたかい?お前が育てたあの子はあんなにも立派な大人になったんだよ」  写真を愛でるように、優しく触れた。
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