食堂イベント

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 「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」  鼓膜が死んだ。  扉の方に目を向けると、生徒会が全員集まっていた。  生徒会が揃うことなんて、めったにない。  なんで、来たんだ?  「あっ!桃李!」  出雲が桃李を見つけると、飼い主を見つけた犬のように駆けてきた。  「げっ!俺にキスしたやつ」  桃李は嫌そうに顔を歪めた。  「面白い子がいるからとついて来てみたら、なんだ、根暗か」  隆明が桃李を見て、鼻で笑う。  「なっ!!人をばかにするのはダメなんだぞ!」  「俺が誰かわかってんのか?」  「そんなのどうでもいい!」  「へぇ、気に入ったな」  そんな会話を聞いて、めんどくさそうにしていると、巡の近くに佑がやってきた。  「え〜。俺的にはこの平凡くんが気になるなぁ」  佑が巡のほっぺをつんつんつんとついてくる。それでも反応しない巡。  「ただの平凡じゃねーか」  隆明がそう言う。  そう。平凡なんですよ。だから、頼むから、関わるな。  「巡は平凡じゃないぞ!謝れ!!」  南雲ォォォォ!!!  黙れ。  怯えない桃李のその姿に心打たれたのか、隆明は気に入って、桃李に無理やりキスをした。  その瞬間、悲鳴が食堂を包んだ。  「なっ!!!なにしやがる!!!!」  桃李が隆明を殴ろうとする。  「あちゃ〜。困ったもんだね。ねっ、平凡く…ん?」  佑の近くにいたはずの巡はいなく、いつの間にか、桃李と隆明の近くにいた。  桃李に殴られた隆明はそのまま後ろに倒れーーなかった。  巡が隆明を支えたのだ。  隆明も決して小柄ではない。軽々と支えた巡に食堂にいた生徒たちは口を閉ざす。  「南雲。すぐに人を殴る癖は直したほうがいいぞ」    優しい口調で、そう諭す。  「生徒会のみんなも、自分の立場を自覚してくださいよ。目立つに決まってるでしょうが。あなたたちの与える影響はすごいんですから」    巡はめんどくさそうに髪をかきあげた。  ーーやっちまった。  目立ちたくなかったのに。  
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