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そして、悲劇は起きた。
巡くんが20歳になった矢先、剣はこの世から去ったのだ。
たった34歳で…。
あの日、僕は剣と一緒に海へ行く予定だった。
まだ、巡くんが小さかった時に行って以来、行っていなく、僕は二人っきりで海に行きたいと剣にせがんだ。
剣は困ったような笑みを浮かべて、「しょうがねえな。いいよ」と僕のお願いを聞いてくれた。
その困り顔を見るのが好きだった。
海で、剣に告白しようと決めていた。
僕は初めて剣を見た時から、剣のことが好きだった。
どんな手を使っても、僕を見てほしかった。
だから、警察から助けたし、居場所も作った。
…重いよね。
自分でもそう思う。
愛って、重いんだよ。
今でも思う。
僕はあの時、剣を助けられたはずだって。
約束の時間になっても、剣は待ち合わせ場所に来なかった。不安が襲いかかってきた。
そんな時だった。
叶から剣が死んだ、という連絡を受けたのは。
霊安室には、光を失った巡くんがいた。
僕は剣の遺体を見て、膝から崩れ落ちた。
嗚咽を漏らす。
「~~~~~~~!!!」
剣は何者かに刺され、亡くなった。享年34歳であった。
犯人は今も捕まっていない。
ただ、剣のそばにはある一枚のメモが残されていたらしい。
【剣は誰にも渡さない。ぼくだけのものだ。 ダーク】
そこで初めてダークの存在を知った。
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