1235人が本棚に入れています
本棚に追加
今思えば、あの頃の剣は常におびえていた。得体の知れない”何か”に恐れていたんだ。
死ぬことが怖かったのではない。
きっと、命よりも大事な、大事な巡くんを傷つけられるかもしれないって、おびえていたんだ。
“何か”とは、ダークだったのだ。
おそらく、剣はダークのもとへ向かい、やめてくれとお願いをしたんだろう。それが、ダークの逆鱗に触れてしまった。
剣の遺体には無数の刺し傷があった。酷い手口で、剣を殺したのだ。
憎い。
大切な、剣を殺した剣が憎い。
殺してやりたい。
「颯太さん」
落ち着きを取り戻した巡くんが、こう言った。
「颯太さんは…白崎学園を護ってください。2人で創った大切な場所だから」
そう言われ、僕はハッとした。
そうだ。まだあるじゃないか。
剣が生きた証が。
ーー白崎学園。
白崎学園を護ることが、僕の存在意義となった。
最初のコメントを投稿しよう!