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今でも鮮明に思い出す。
愛おしい人をこの手で殺したあの感覚を。
あの人はぼくのところにやってきた。ぼくがあの人を自分のものにするために、いろいろ嫌がらせとか犯罪を犯していたことを気づいたらしい。
ぼくを見るあの人の眼差しは、ひどく悲しくて、悔しそうだった。
なんで、そんな目をするの?
そう問いかけると、あの人はこう答えた。
「オレは神様じゃない」
それからは記憶にない。
気がつけば、目の前には愛おしい人が血を流しながら倒れていた。
べっとりと赤い血が手のひらにあった。
「…いやぁぁぁぁ!!!!!」
わかる?
愛おしい人を自分の、この手で殺した気持ちが。
ぼくね、嬉しかったの。
あの時、永遠にあの人はぼくだけのものになったの。殺したから。
でも、それでも心のモヤは晴れなかった。
それはなぜか。
あの人にはぼくよりも大切な奴がいたんだよ。それがわかった時、ぼくは悔しかった。
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