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『ーー教えてくれるんだろ?』
隆明様の声が聞こえた。
潤にもインカムを渡したので、同じように聴いてもらっている。
「誰と話してるんですかね?」
「…ダークの部下、かもしれないな」
「え!だったら、一刻も早く隆明様の居場所を!」
「学園からは出ていないはずだ。なにより、剣さんと颯太さんが作った学園だ。簡単には出られない」
「ーーでも」
「盗聴器からわずかな情報を得るしかないんだ」
『お前、俺の親衛隊を脅かしたわけじゃないよな?』
『脅かしてない。ちょっとお前を呼び出すのに利用させてもらっただけだ』
相手の方が聞こえた。この声に聞き覚えがあった俺は、くそっと焦る。
体育祭の時の男だ。
俺から情報を吐き出そうとして、容赦なく殴ってきたあの男だ。
親衛隊か。
「おい、潤」
「はい。親衛隊を見つけてきます」
話が早い。
「おそらく、まだ近くにいるはずだ。呼び出したのは、中庭、裏庭のどっちかだ。早くしろ」
「承知致しました」
潤はそのまま駆け出した。
俺はそのまま、2人の会話を引き続き聞く。
『早く話せ』
『まぁ、そう焦るな。時間はあるんだ。さて、お前に問おう。お前にとって綾瀬巡とはどんな存在なんだ?』
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