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「何絆されてるんだ」
別の声が聞こえた。
坊主頭の男の背後から非常に美しい男性が現れた。わかりやすく例えるなら、鋭いナイフのような切れ味を持つ雰囲気の男だった。
「ーーー」
「お前はダーク様のことだけ考えればいいんだよ」
坊主頭の男にそう言う美しい男。
「お前は、誰だ」
坊主頭の男よりもはるかに恐ろしい。それを感じ取ったのか、隆明の声は震えていた。
「ダークの部下だ。こいつとは違って主に情報収集を担当してる」
「……」
坊主頭の男は何も言わない。
「さて、伊集院隆明」
美しい男がそう言った瞬間、隆明の頭に何かを被せられる。それが袋だと分かった隆明は抵抗する。
「抵抗するな。我々は綾瀬巡が目的だ。綾瀬巡が来るまで大人しくしていたら、何もしない」
「綾瀬!!」
隆明に呼ばれ、巡は動揺する。
「聞こえてるかわからんが、お前は来るな!俺なら大丈夫だ。俺はお前らなんかに屈しない」
凛々しい強さを見せる隆明に、巡は口角を上げた。
「ここは裏庭!近くに使われていない倉庫があるから、そこに連れて行かれる可能性は高い!倉庫でなくても、学園内には使われていない倉庫や校舎はそんなに多くない。絞ることは十分できるはずだ。俺に異常があれば、すぐにでも風紀委員会が動き出すだろう」
「ただの坊ちゃんだというわけではないな。面白い」
美しい男は実に愉快そうだ。
「綾瀬。俺は大丈夫だ」
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