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「さ、話を聞かせてもらおうか」
風紀委員室で、巡は食堂での出来事を簡潔に説明した。
「…って言うわけなんです」
千はメモを取っていた手を止め、ため息を吐いた。
「なるほどな。まぁ、会長が悪いな。でも、南雲。人を殴るのもダメだ。お前は反省文を書いてもらう」
「…すみませんでした」
素直に謝れる桃李に、巡は好意を持つ。何事にも素直が一番だ。
「綾瀬と言ったか」
「はい」
「お前のその冷静な判断力、観察眼、立派なものだ」
「どうも」
「風紀委員会に入るか?」
思いもよらない勧誘に、巡は少し驚いたが、迷うことなく、すぐに
「いいえ、お断りします」
と断った。
「なぜだ?授業免除にもなるし、何より、お前が制裁を受けることはなくなるんだぞ」
…俺の制裁のことを知っていたのか。
チラリと大介を見た。大介は机で書類整理をしていた。バチっと目が合う。
その目からは心配の色が宿っていた。
そうか。心配してくれていたのか。
ありがとうな。
でも、大丈夫。俺は大丈夫だ。
「そうですね。メリットはたくさんありますね。でも、入りません」
巡は椅子から立ち上がり、ドアノブに手をかけた。
「俺は目立ちたくないし、静かに過ごしたいので」
そう告げると、風紀委員室から出て行った。
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