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10分後ーー。
ぐったりしている隆明を見て、雷斗は満足したのか手を止めた。
そして、そのまま写真を撮る。
「これで準備は整った。あとは綾瀬巡を呼ぶだけだ」
そう言い、雷斗はドアの向こうへと消えていった。
佐久は濡れたタオルを持ってきて、隆明の顔を優しく拭いてやる。
せめてこれくらいはさせてくれ。
罪悪感で心が壊れてしまいそうだ。
「…っ」
気がついた隆明に安堵したのか、佐久はタオルを机の上に置いた。
「大丈夫か?」
「あぁ…」
雷斗が戻ってきたので、佐久はすぐに口を閉ざす。
「綾瀬巡のスマホにお前の写真を送りつけた。すぐにでも駆けつけてくるだろう」
楽しそうに笑う雷斗に狂気を感じる。隆明はキッと睨むが、全く効かない。
巡の手には、傷だらけの隆明の写真があった。ふつふつと怒りが湧いてくる。
ーーー許さない。
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