ダーク~本章~

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「佐久、行け」 雷斗は煙の玉を出し、佐久の逃げ道を作った。佐久は迷っていたが、逃げ出した。 「追いかける必要はない。正体はわかっている。そのうち対峙することになるだろう」 追いかけようとした部下を止め、巡は言った。 「こいつは俺がやる。皆は再度学園の警備面を強化しろ。システム面も含めて、抜かりなくやれ」 巡の命令に従う部下たち。 倉庫には2人だけしかいない。 「バレたのか。佐久の正体」 「あぁ。親衛隊たちのおかげでな」 2人の間に冷たい空気が走る。 動き出したのは、雷斗だった。 バン!! 巡の頬に弾が掠った。 「へぇ、動じないんだ。さすがだ」 「…銃か。やはり、暴力団との関わりがあるんだな」 「その通り」 バンバンバン!! 雷斗の攻撃が続く。巡はまるで弾が見えているかのように、余裕で避けながら、雷斗の元へ歩いていく。 あまりの強さに、雷斗は背筋が凍る感覚がした。 「ーー捕まえた」 いつの間にか、目の前に巡がいた。そして、銃も奪われていた。 こんなに強いのか? 綾瀬巡という男はーーー。 「…不治の病で体がボロボロだとは思えないな」 「これは驚いた。俺の病気を知ってるのか」 「本来、戦闘向きじゃないんだ。ハッカーとしてお前のことを調べ上げた」 「戦闘向きなのは逃げたあの“佐久”か」 「そうだ」
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