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秘密の治療室から出た巡は深く息を吸い込んだ。そして、吐く。
後もう少しだ。
後もう少しで、ダークに辿り着ける。
ふらふらとした足つきで、自分の部屋に戻る。
ドアを開けると、そこには巽が怒り方でこちらを見ていた。
「ーーー潤くんから聞いた。また無茶したんだって?」
潤の野郎…。告げ口しやがって。
巽は俺の顔をじっと見ている。怪我の痕によく持っていないんだろう。
「詳しくは知らないけどさ、また誰かを助けてたんでしょ?自分を犠牲にしてまで」
「……」
「王道学園BLなら、傷つけられ主人公は大変萌える!と、言いたいところだが」
巽は俺を抱きしめた。
「俺は、腐男子だけど、巡が傷つけられてるのを黙って見ていられるほど腐ってないんだよ」
いつもと違う巽に、俺は黙って話を聞いている。
「親友のお前を傷つけられるのは、やっぱり、嫌だよ」
「俺はお前のことを親友だとは認めてないぞ」
「え!!うそ!」
「冗談だ」
さっきの深刻な表情とは一転。少し、泣きそうな顔でギャーギャーと喚く。すっかり、いつもの調子に戻った巽。
ーーーお前はそうやって、笑ってくれればいいんだよ。それが、俺の幸せだから。
「まぁ、気にするな。もうすぐで全部が終わるから」
全部って、何?
巽は聞こうとしたけど、聞けなかった。
聞いたら、今すぐでも巡がいなくなりそうな気がしたから。
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