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巡がいなくなった風紀委員室では、桃李が泣きながら反省文を書いていた。
サボらないように、大介は監視。
「綾瀬巡…か」
風紀委員長の席に腰掛け、千は先ほどの巡の言動を思い出す。
「天羽」
「はい?」
「お前から見て、綾瀬とはどんな人物だ?」
大介はその質問の意図がわからなかったのか、首を傾げた。
でも、委員長の質問には答えなければならない。
「頼りになる友人ですよ」と答える。
「そうか」
千は生徒の情報資料を開く。
巡の情報を読み進めていく。目立ったような経歴は見られない。
「ただの肝の座った一般生徒か」
世間から隔離され、世間の常識とはかけ離れた常識を持つ、異常なこの学園。
ようやく、まともな生徒が入ってきた。そういうところだろう。
何かあった時は、綾瀬を介して問題を解決すればいいか。
資料を閉じた。
風紀委員室から出た巡はふと足を止めた。
「あ〜〜っ」
髪を両手でぐしゃぐしゃにする。
本当はあんな目立つことをしたくなかった。だけど、この学園では生徒会が悪いことをしても、咎められない傾向にある。
それでは、南雲がかわいそうだ。下手したら、謹慎を喰らっていただろう。
“自分の目で見た真実だけを信じろ。”
その言葉を信条に巡は生きてきた。だからこそ、あのような目立つような状況でも自ら名乗り出たのだ。
紛れもない正義感で。
教室に戻る中、巡はスマホを取り出して、メールを送った。
心配しているであろう、巽の元に帰るか。
「ふわぁ〜」
大きな欠伸をかまし、眠そうに目を擦った。
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