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「なんでって…」
巡の力強い眼差しに見つめられ、響は思わず息を呑んだ。
「あいつは俺を怖がらなかったろ?怖がらないで、笑いかけてくれたんだ。…好きになるに決まってるだろ」
予想通りの答えに巡は思わず笑ってしまった。
「お前を怖がらないのは、俺も巽も大介も同じだろ?それの南雲と何が違うんだ?」
「ーーっそれは!」
「まぁ、いい。人の好意を否定する権利は誰もないからな。お前が南雲のことをどう思おうが、それはお前の自由だしな」
何も言わない響。
巡の言っていることが正しいと分かっているからだ。
「しかし、生徒会が南雲を気に入っている限りは制裁は免れないぞ」
大介が言う。一応パトロールはしているみたいだが、それでも制裁がなくなることはない。
親衛隊総隊長に交渉する必要がある。しかし、誰もその親衛隊総隊長に会ったことはないという。
「あぁ、それに関しては俺がなんとかする」
巡の言葉に巽の顔が歪んだ。
「まさか、南雲が受ける制裁を代わりに巡が受けるってこと?」
「違う。できるだけ、南雲のそばにいるんだ。俺がいれば周りも下手に手は出さないだろう」
それは確かにその通りだ。
でも、巡が一人になった途端に親衛隊が寄ってきて、制裁をする。
それが巽には許せないことだった。
「知ってるだろ。俺が強いってこと」
俯いていた巽は顔を上げた。
不敵に微笑む巡がいた。
「だから、安心しろ」
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