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ー生徒会室ー
「桃李!来てくれたんですね!」
出雲が嬉しそうに駆け寄る。
「相談したいことがあるって聞いたから来たんだぞ」
「そうですね。それではこちらに」
桃李をソファーに座らせる。そして、紅茶を差し出す。
「あら〜?桃李ちゃんじゃん」
佑は桃李の隣に座った。桃李の首筋をそっといやらしい手つきで撫でる。ぞわぞわしたのか、桃李の腕にはすごい鳥肌が立っていた。
「面白い反応するねぇ。親衛隊の子は喜ぶのに~」
ケラケラと笑う。
「で、相談したいことって何だ?」
出雲と隆明が真剣な顔で、
「お前は生徒会の誰を選ぶ?」
なんてことを言ってきた。
桃李は「はっ?」と目を大きく見開く。相談があるから来たのに。
「だから、俺は誰も選ばない!!」
コンコン。
ノック音が響く。佑が「は〜い」と返事すると、
「綾瀬です。そろそろ授業時間なので、南雲を連れて帰ってもいいですか?」
扉の向こうから、巡がそう言った。佑は巡のこと、気になっているみたいで出雲に「中に入れてもいい〜?」と聞いた。
出雲は嫌そうな顔をしたが、「まぁ、いいでしょう」と巡を中に入れた。
桃李とは対照的に、無表情で入ってきた巡。巡は桃李を見て、「帰るぞ」と言った。
「巡!」
桃李は巡の背中に隠れる。
「お前さ、風紀委員長に注意されたばかりだろ。できるだけ生徒会に関わるなって」
「うっ、でも…」
「いいか。お前の行動一つで迷惑かけることだってあるんだからな」
「…はい」
「おい、平凡」
隆明が巡を呼ぶ。平凡とは自分のことだと分かっているので、「はい」と返事する。
「お前は、桃李が好きなのか?」
すぐに好きだの嫌いだの結びつけるやつらに苛立ちを覚えた。
「恋愛としての好きはありません。友人としての好意は少しはあるかもしれませんが」
「だったら、桃李をこっちによこせ」
「さっき言ったでしょう?俺たちはあなたたちと違って授業免除にはならないんですよ」
「…」
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