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教室に戻ると、巽と大介、響が安堵した顔で巡たちを見た。
「大丈夫だった!?巡!」
「大丈夫だ。…関わりたくなかったがな」
「桃李!何もされてないか!」
「巡が助けてくれたから大丈夫だ!!」
「綾瀬。本来なら風紀委員である俺の仕事なのに、すまない」
「気にするな、大介」
この時、俺は甘く考えていたんだ。もっと、生徒会に釘を刺しとけば、あんなことにはならなかったんだ。
あれから、生徒会は懲りずに桃李を追いかけまわしている。その度に起こる親衛隊のクレーム。
桃李が逃げ回る際に物を壊すので、風紀委員会が反省文を書かせるなど。
そんな日常が当たり前になりつつあった。
平和を愛する巡にとっては、ただ迷惑でしかなかった。
そんなある日、桃李は親衛隊に呼び出しを受けて、中庭に向かった。
大介は制裁の現行犯を捕まえたいからと、桃李の後をついていく。響も桃李のこと好きで、心配でたまらないから、大介と一緒に向かった。
桃李の周りにはこんなにも優しい奴らがいる。
教室から出て行く彼らの背中を見つめ、巽は、
「王道展開!!…だけど、素直に喜べないや」
しょぼんとそう言っていた。こいつも少なくとも桃李のことを友達だと思い始めているんだろう。
「まぁ、大介がいるから大丈夫なんじゃないか」
巡は欠伸をかましながら、巽を慰める。マイペースな巡に羨ましいなとさえ思う。
「そんなに心配なら、見に行くか」
「巡!お前、いいやつだな」
「お前のそのジメジメとした空気がうざくてたまらないからだ」
「ひどいw」
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