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巡と巽は桃李の元へ向かう。
「おい、平凡」
後ろから偉そうな声で呼ばれ、めんどくさそうに巡は振り返った。
隆明がそこにいた。気に入らないような目でこちらを見つめてくる。
敵意。
嫌悪感。
そんな目で見てくる。
「桃李はどこだ」
「さぁ」
あんたたちのせいだよ、と言えば生徒会は権力を使って、親衛隊を解散させようとするだろう。
俺も親衛隊のことはあまり好きではない。だが、巽や響の親衛隊のように、制裁をしない穏便派の親衛隊もいる。
そいつらから、居場所を取ることなど、俺にはできない。
ただ、純粋な憧れや好意の気持ちで親衛隊になったんだろうから。
巡はどうしたもんかな、とため息を吐いた。
「巽。俺は会長と話すから、先に行ってろ」
「わかった。気をつけてな」
「あぁ」
さぁて、と巡は隆明と向き合う。
「さっきのやつ、藤堂だろ?どこに行ったんだ」
「仮に行き先を知っていても、あなたには教えません」
「なんだと」
「俺、言いましたよね。あなたたちの立場を自覚しろと」
ピリッと二人の間には険悪な空気が纏う。
静かに過ごしたいのに、桃李が来てから平和が遠ざかって行く。
あまり怒らない巡でも、さすがに我慢はできないようだ。
隆明よりもはるかに身長のある巡。見下ろすような形で見つめられ、隆明は落ち着かない。
「親衛隊か?」
「…」
「やっぱりな。親衛隊の奴らはクズだ」
「はい?」
「俺たちにふさわしくなかったら、すぐに制裁の対象とする。俺たちのことなんか、ちっとも分かってくれやしない。
親衛隊は自分勝手だ。
仲良くなりたいと思っていても、すぐに親衛隊が制裁する。
俺は誰も信じられない。だから、俺は俺の好きなようにする」
隆明の本音を聞いたような気がした。
巡は腕を組んだ。うーん、と考え込み始める。隆明に言う言葉を探しているのだろう。
「親衛隊は見た目だけで近づいてくる。お金目当ての奴らもいる。それが気に入らないんだ」
親衛隊が自分勝手なのは同感だ。
でも…
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