序章 運命の夜

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序章 運命の夜

「…何でよりによってお前に見られるかなぁ」 「嘘…だろ…」 美しい満月の夜。人気のない路地で、少年2人は顔を合わせていた。 2人、というのは少し違うかもしれない。 なぜなら、片方の少年には人間にはおおよそ無い特徴があったからである。 片方の少年の白髪の上には、狐の耳が生えていた。 加えて、尾てい骨の辺りからは巨大な尻尾がゆらゆらと揺れている。 「小太郎(こたろう)、君は…」 雪のように白い狐の耳と尻尾を持つ少年の名は陽道小太郎(ようどうこたろう)という。 彼の姿を見ている『人間』の少年、月野大亜(つきのだいあ)とは唯一無二の親友であった。 小太郎と呼ばれた少年は自嘲気味に軽く笑うと、大亜に声をかける。 「ダイヤ、俺たちはずっと一緒に過ごして来た…でも、改めて問うよ。なあ、俺はお前の親友でいられるか?」
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