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「ぐっ…クッソ、こんな…」
この光の縄を抜け出すことは可能…妖力を足に集中させて小爆発を起こせばだ。
しかし、足元に妖力を集中させる必要があるため、これには少々時間がいるのだ。
「貰ったぜ、化け物ーッ!」
この妖怪狩りたちがそんな余裕を用意してくれるわけもない。大柄な男が突っ込んでくる。
「天よ、その力を我が身に…妖よ、失せよ!悪気封印!」
札から光線が放たれる。
足を縛られているため、避けられない。
(ああ、ここまでか…)
足枷を外すまであと少しだったのに。
こんなところで死ぬのか、俺は。
小太郎が最後に思うのは、やはり親友のことだった。
(ダイヤ、帰ったのかな)
親友に、自分の正体を知られてしまった。
もう、親友でいられない──
月野大亜と親友でいられなくなるなら、生きていても仕方ないのかもしれない。
この死は、大亜との別れ。
自分が死ねば、大亜は悲しがるだろうか。
あんな化け物とおさらばできて良かった、なんて思うかもしれない。
光線は、もう目と鼻の先。
小太郎は目を閉じた。
(さようなら、『ダイヤ』…)
光線が九尾の狐に直撃し、妖怪・陽道小太郎は塵に──
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