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1章 黒炎の妖狐
大亜は、暗い空間に1人立っていた。
なぜこんなところにいるのか?自分は死んだのだろうか?
「もうすぐ、君は目覚めるよ」
誰かに肩を叩かれたので振り向くと、声の主に驚愕した。
(僕が…もう1人…?)
「僕はもう行かないといけない。だから君に別れとお願いだけしに来たんだ」
(行かないといけないって…僕は死んだのか!?)
声に出したつもりだったが、声にならなかった。
どうやら自分は会話はできない状態らしい。
しかし、「彼」は言いたいことを受け取ってくれたらしい。
「大丈夫だ、君は死んでいない。人の僕が死んだだけで」
(…人の僕は死んだ?一体どういう…)
「でも、君は君のままなんだ。どうなろうと家族を、友達を…変わらず大切にして欲しい。それが人の僕からのお願いだ」
逆境にも負けるな、と「彼」は大亜にエールを送った。
「まぁ大丈夫だよね、僕なんだから。じゃあ僕はそろそろ行くよ。君もそろそろいるべき場所へ…」
「彼」は大亜に背を向けて歩き始める。
(待って!もう少し話を────)
しかし大亜の視界は、眩い光に包まれた。
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