序章 運命の夜

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「今日はちょっと残って勉強してから帰るよ。誰かさんと違ってちゃんと勉強しないとやってられないんでね」 「悪かったって、そう怒らないでくれよ」 「怒ってないさ、テスト前だから勉強しなきゃいけないのは本当のことだし」 「そうか、じゃあ先帰るからな。また明日!」 「また明日!」 普段は一緒に帰るのだが、何せ今はテスト直前である。 講義は寝ていた小太郎だが、彼のテストの成績は高い。 大亜も決して成績が悪いわけではないのだが、それは彼がこつこつ勉強を積み上げた成果だ。 (いつか小太郎に追いつくんだ) そんな対抗心も微かに燃やしながら、大亜は机に教科書とノートを広げた。
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