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「だいぶと暗くなっちゃったな」
大亜が学校を出る頃には、すっかり日は暮れていた。
「今度こそ小太郎を驚かせてやるんだ。もし勝てたら飯でも奢ってもらおうかな」
小太郎はいつも大亜の前に立っている男であり、彼と親友であることはとても誇らしい。
しかし、ずっと彼の背中だけを見ていられないと奮起したのだ。その1つが勉学であり、彼なりに努力をしている。
親友だけど、親友ならあいつと対等にならなくちゃ──大亜はそれを胸に、最近は毎日を過ごしていた。
さあ帰ろう、今日のテスト勉強も当日活きるといいけど…などと考えつつ歩き出したその瞬間──
遠くから聞こえる声と見える人影。どうやら走っているみたいだが。
「待って…あれ、小太郎じゃない?」
走っている人影は小太郎だった。こんな時間に慌ててどこへ行くのだろうか。
(後を追ってみようか、気になるし…)
この時の大亜は知るはずもなかった。
この選択が、この後の彼の生き方を大きく変える選択だったなんて。
輝く満月は、まだ雲に隠れていた。
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