序章 運命の夜

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(あいつ、あんなに足早かったのかよ!?) 小太郎の素早さに舌を巻く。 小太郎は運動神経が悪いわけではなかったが、こんなに素早く動けるなど大亜は知らなかった。 そして彼が向かう先は人気のない路地ばかりである。 (このままなら一生追いつけない!どうすれば…そうだ!) このまま小太郎が直進するなら、先に繋がる近道を大亜は知っていた。先回りして小太郎の正面に出るのだ。 大亜は道を外れ、全速力で近道を駆ける。 走れ、走れ、走れ!ここまで来たからには事情を絶対聞いてやるんだ。 近道を抜け、目的の路地に出る。 小太郎は、もう行ってしまっただろうか…いや! 「おい小太郎!そんな急いでどこ行くんだよ!」 追いついた。紙一重、小太郎は足を止めた。 「ハア…ハア…もう夜の8時だぞ?夜遊びなんてしたこともないだろうにどこへ…?」 息切れしながら小太郎を見上げる。
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