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出発。
剃毛でもいい。なんでもいい。
多くの人間がたどり着けなかった妖精の村へ行ってみたい。
私はすぐさま準備をはじめ、三日後には出発していました。
私は初めは一人でそこへ行くつもりでした。
ですが、同業男性、そしてもう一人の女性と三人で、聖域を目指すことになりました。
列車を乗り継ぎながら、さまざまな想像を巡らせます。
村へは行き慣れています。
合計、いくつの村を訪ねたでしょうか。
さまざまな村がありました。
怖い目にも遭いましたし、迷惑もかけました。
身震いするような恐ろしくおぞましい信仰を持ち、儀式を行う村もありました。
私は刺激が好きで、価値観を書き換えられるようなことがとても好きなんです。
ですが、感性が鈍りました。
何のせいでしょうか。
【現代奇形商売】でも書きましたが、”罪悪感にさいなまれる”という感覚でしょうか。
私は元来、精神は強靭で、悩んだこともめげたこともないのです。
ひきずらないのです。
ですが、今回は違いました。
【競りにかけられる女性たち】のなかにもまだ書いていない、とてもえげつない話がいくつかあります。
その取材、そして【現代奇形商売】の取材。
その次に向かう場所があったのですが、今回はその取材先よりも優先させて、妖精たちの暮らす村に向かいたくなったのです。
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