はじめに。

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はじめに。

74a0d677-41ab-4db8-83f1-e79ee01fa64a 私はある時期、非常に疲れたなと感じていました。 人間たちの欲望、業(ごう)、因果、縁起、そして死。 何を見るのも、何に向き合うのもしんどくなってきた、そんなことがありました。 行動派で危険中毒の私らしからぬ観念にとらわれていました。 「どこか、何もかもから解放される場所はないものか」 でも、そんなのは私だけではありません。 そのように考えたことが、だれでもあるはずなのです。 ebd4cba0-4015-4e5b-9082-e8fd0de0e125 私はある情報を耳にしました。 俗世間から放たれた妖精たちが暮らす村がある。 妖精とは何でしょう。 オカルトや神秘、心霊などの話でしょうか。 私は詳しく訊きました。 「違うよ。実在の少女たちなんだ。僕たちにとって分かりやすくたとえるなら…巫女かな」 巫女さんは、村のなかで神聖な存在です。 処女であり、俗世間に汚されていない感性を持ち、大切にされるべき存在です。 神のご加護を得るための仲介役、そのような存在とされていることが多いのです。 ab4162d4-c928-40b0-b4dd-cafee2fc1f2f 「妖精は、ふつうの少女じゃないとされる。神の子が下りてきて、一時的に地上にいるとされているんだよ。妖精たちは短命なんだ。その短い期間を、ある村のなかで過ごす」 私はその妖精たちが暮らす村を、外からそっと眺めてみたいと思いました。
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