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 未来が倒れた。  俺は病院に駆けつけてみると、いつもと変わらず笑顔の未来がいる。 「ねぇ、私の未来、どうなってる?」 「それは……」 「困らせること聞いてごめんね。分かってるんだ。体で、何となく」 「そうか……」  今まで、これだけ多くの人の未来を変えてきたのに、目の前で苦しんでいる彼女のことを救うことは、出来ないのだ。悔しさと虚しさがわいてくる。 「ごめんね。私が過去のこと言えなくなったら、光春くん大変でしょ?」 「そんなのはどうでも良いんだよ」 「ねぇ、良ければ使って?」 「は?」 「私があと何年で死ぬか。占いで言ってみて。きっと、当たったらみんなびっくりするわ」 「馬鹿言うな!!」  俺は病室を飛び出した。今までのモノクロだった人生を、彼女が救ってくれたのに。モノクロの彼女のこれからを、どうにか救ってあげられないのか。国語の評価2の頭で、必死に考えた。
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