病んでると、タバコは駄目なわけ?

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「れーんじくんっ! あーそー」 ガラガラガラ。 見上げていた二階の窓が開いた。 「よっ」 「勘弁しろって」 ぬっと出てきた眠そうな顔。俺を面倒そうに見下ろしやがって。 「起きてんじゃん」 「何時だと思ってんだよ」 「早起きは三文の徳って言うだろ?」 「じいさんか」 「ちょっと待ってろ」そう言って、黒川廉次(くろかわれんじ)が開けていた窓をピシャリと閉める。 まだ日の昇らない朝の空気は、だらけた涼しさで心地良い。昨日までギャンギャン鳴いていた蝉が、街路樹の根元に転がっていた。 「入れよ」 ずり落ちそうなスウェットのズボンを引き上げながら、廉次が玄関扉からのっそりと半身だけを出す。 何を食べたらお前みたいにデカくなるのか、なんてことを考えるのは随分前に止めた。 「ちわーっす」 仰々しく頭を下げながら、しんと静まり返る玄関に足を踏み入れる。 「もうちょい静かにしろって」 「わり」 頭を小突かれ仕方なく口を噤む。 二階を指さされ、俺はいつもの様に廉次の部屋へと向かう。廉次はキッチンに向かって廊下を歩いていく。大方飲み物とか持って来てくれるのかもしれない。 「俺コーラで」 階段途中から声をかけると、シッと人差し指を口許に当てた廉次が眉間にしわを寄せた。「今日姉貴が来てんだよ」
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