メリーさんの電話

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「メリーさんのラストがなんなのか。最も流布している噂の内容が具現化している筈です」  ルイは副校長にそう説明した。 「ですから、協力してくれる生徒さんだけで良いのです。明日以降、警察に自分の知ってるメリーさんについて話してもらえるようにお願いしてもらえませんか。保護者の同意が必要なら同意して下さるご家庭だけで結構です」 「わ、わかりました……」  副校長はぽかんとしてルイを見た。ルイは微笑むと、 「こう言う聞き取りも捜査の一環なんです。ご協力いただければ……」 「も、もちろん手配します」 「良かった。ありがとうございます。あくまで任意ですから……流石に、今日の五時までに取り付けるのは無理でしょうし、明日以降、平日の午前九時から午後五時の間にこちらにご連絡いただければ……」  名刺を渡す。副校長は両手で受け取ると、 「はい、ご連絡します」  何かを決心したように頷いた。 「室長さぁ、順応性高いって言われない?」  帰り道、車を運転しながらナツがぼやくように言った。ルイは助手席、メグは後部座席だ。 「え? ど、どうして?」 「いやぁ……こんなトンチキな部署に入って二件目の事件で、よく任意の聴取なんか思いつくなって思って……」 「ああ、僕卒論が噂だったからだよ。とりあえずヒアリングしとけって感じ」 「そうかもしんないけど」  ナツは目を細めて、ふっと笑った。嫌みや皮肉ではない。 「室長が来てくれて良かったなぁ」 「そ、そう?」 「ねえ、メグ。あんたもそう思うだろ?」 「うん!」  打てば響くとはこのことか。メグは即答した。 「無事解決したいねぇ」 「うん。本当に。これから被害が増えちゃったら嫌だしね」  ルイは心の底からそう言ってるみたいだった。その真面目さがなんだか面白くってナツはまた笑う。ルイはきょとんとしてナツを見て、メグを見た。 「戻ったよ」  庁舎の部屋に戻ると、先にアサが戻ってパソコンとにらめっこしていた。ナツの声に振り返る。 「おう。早かったな。室長、お疲れ様です」 「桜木さんもお疲れ様」 「子どもたちの聴取をするとか」 「うん。今日手配をお願いしたから明日か明後日かな? 早ければ早いほど良い」 「理由を聞いてもよろしいですか?」 「え? 都市伝説は『こうだったら良いな、ああだったら怖いな、怖かったら面白いな』って言う消極的な『信仰』が具現化するんだよね? ということは、より流布している方が具現化するんじゃないかって……だからどのパターンが広まってるか確かめようと……佐崎さんに相談しないで思いつきで言っちゃったけど」 「室長」 「何?」 「聴取、よろしくお願いします」 「う、うん。皆来るよね?」 「一人にしないよ」  ナツがウィンクした。かっこいい……と、ちょっとだけときめいたルイだった。
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