第一章

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「失礼しました。」 軽く頭を下げ、職員室を後にする。 出てすぐの廊下で、抑えられない気持ちからため息をつくと、教室までの道のりをいつもより遠く感じながら重たい足取りで歩き始めた。 途中、廊下ですれ違う2人組の女の子達が楽しそうに話をする姿を見て、またもため息を着く。 本日、4度目のため息だ。 3度目のため息は、今さっき。 1度目と2度目のため息は、数分前を遡ることとなる。 ──── それは、四限の授業が終わり昼休みを告げるチャイムが鳴って間も無くした頃だった。 つかの間の授業の開放感からか、教室は次第に騒がしくなる。 教室を出入りする音、机をくっつけ合う音、話し声等が教室中に響き渡っていた。 そんな中私は、教室の隅で一人取り残されていた。 学校に、友達がいない訳ではない。 では、なぜ一人なのか。 それは、この”クラスには友達”がいないからだ。 学校にいる唯一の友達とは、クラスが離れてしまった。 そこで、入学早々から友達を作らなくてはならなくなったが入学して二ヶ月ほどたった今、”クラスに友達”がいない。 正直、チャンスは色々あったかもしれない。 しかし、私にはそのチャンスがどのタイミングが分からなかった。そうして、掴もうとしているうちに入学して随分日が経ち、未だに友達ができない。 だから、友達を作ることを最近諦めかけていた。 2年になれば、唯一の友達と同じクラスになれるかもしれない。 クラス替えさえ上手くいけば、どうにかなると思っていた。 だから、それまでは悪目立ちしないように静かに大人しく過ごすよう心がけている。 注目される事は、絶対にあってはならない事だ。
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