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痛い視線を何とかかわし、職員室へと続く廊下にたどり着いた。
廊下には人気がほとんどなく私達の歩く音だけが廊下に響く。
「宮園さん。」
「っ、はい!!」
小日向くんが、突然後ろを振り返るものだから驚いて肩が上がった。
「っふははは!!そんな驚かなくても。」
「そ、そうだよね。」
「そうだよ。」
ふいに見せたはにかんだ笑顔に、胸がどきっと跳ねる。
さすが、できるイケメンだと関心してしまう。
小日向くんは、私の隣に並び話し始めた。
「宮園さんとちゃんと話すのって初めてだよね。」
「うん、初めて。」
「昼休みに呼び出しとか最悪だよな〜。」
「何か悪いことをしたのかな…。」
「心当たりはあるの?」
「ない。」
眉をひそめて私は、はっきりと言う。
覚えが無くて困るくらいだ。
彼は、目を見開いて驚いたような顔をしたが一瞬で表情は変わり、先程のように笑い出した。
「宮園さんって、面白いね。」
「えっ。私は、つまらない人間です。」
「そういう所だよ。」
「えぇ?」
笑顔でこちらを見る小日向くんを見ながら、顔をへの字にさせていると、いつの間にか職員室に着いた。
私は、一歩後ろに下がって背の高い彼の方を見る。
「俺が、開ける感じ?」
「もちろん。」
先程まで笑顔だったはずの彼は、強ばったような表情になる。
こちらにまで緊張が伝わってきた。
ノックをして、扉が開く。
冷房のせいだろうか、冷たい風が肌に触れて背筋がピンと伸びる。
「失礼します。1年2組の小日向と、」
「み、宮園です…。」
「放送で呼ばれてきました。」
挨拶をして扉を閉めると、私達に気づいたのか一人の先生がこちらに手を大きく振る。
「おぉ!!二人ともこっち、こっち。」
小日向くんと顔を合わせて頷くと、その先生の元へと向かった。
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