第一章

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痛い視線を何とかかわし、職員室へと続く廊下にたどり着いた。 廊下には人気(ひとけ)がほとんどなく私達の歩く音だけが廊下に響く。 「宮園さん。」 「っ、はい!!」 小日向くんが、突然後ろを振り返るものだから驚いて肩が上がった。 「っふははは!!そんな驚かなくても。」 「そ、そうだよね。」 「そうだよ。」 ふいに見せたはにかんだ笑顔に、胸がどきっと跳ねる。 さすが、できるイケメンだと関心してしまう。 小日向くんは、私の隣に並び話し始めた。 「宮園さんとちゃんと話すのって初めてだよね。」 「うん、初めて。」 「昼休みに呼び出しとか最悪だよな〜。」 「何か悪いことをしたのかな…。」 「心当たりはあるの?」 「ない。」 眉をひそめて私は、はっきりと言う。 覚えが無くて困るくらいだ。 彼は、目を見開いて驚いたような顔をしたが一瞬で表情は変わり、先程のように笑い出した。 「宮園さんって、面白いね。」 「えっ。私は、つまらない人間です。」 「そういう所だよ。」 「えぇ?」 笑顔でこちらを見る小日向くんを見ながら、顔をへの字にさせていると、いつの間にか職員室に着いた。 私は、一歩後ろに下がって背の高い彼の方を見る。 「俺が、開ける感じ?」 「もちろん。」 先程まで笑顔だったはずの彼は、強ばったような表情になる。 こちらにまで緊張が伝わってきた。 ノックをして、扉が開く。 冷房のせいだろうか、冷たい風が肌に触れて背筋がピンと伸びる。 「失礼します。1年2組の小日向と、」 「み、宮園です…。」 「放送で呼ばれてきました。」 挨拶をして扉を閉めると、私達に気づいたのか一人の先生がこちらに手を大きく振る。 「おぉ!!二人ともこっち、こっち。」 小日向くんと顔を合わせて頷くと、その先生の元へと向かった。
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