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呼び出しをしたのは、国語科を担当しているベテランの寺谷先生のようだ。
ベテランと言っても、厳しい感じはなくて穏やかでごく普通の眼鏡をかけたおじいちゃんだ。
ほとんどの生徒は、名前の漢字を文字って“じいや“と読んでいる。
「二人とも同時に悪いね。」
「いえいえ。俺達何かしました?」
「ふむ。早速本題にはいろうか。」
先生は、そう言うと小日向くんにだけ折りたたまれたプリントを渡した。
「小日向くん。それは、先週行われた中間考査の君の成績だ。」
「まだ皆、返却されてないはずじゃ…」
「まぁ、話を最後まで聞きなさい。」
「…はい。」
私を除いた、2人だけで話が始まる。
小日向くんは、先程から何故かバツが悪そうな顔をしていた。
「この間の考査の平均点は、1年生の初回とあって高くてね。約70点だった。赤点は、30点以下で良さそうだ。」
「はぁ…。」
「小日向くん。君のテストの点数は、何点だったと思う?」
「いやぁー、えっと…。」
「んん?」
レンズ越しの先生の目は見開いていて、小日向くんを鋭い目つきで見ている。
小日向くんは、若干引いている様子。
先生と一方的なにらめっこをしているようだ。
1人置いてけぼりの私は、その場でじっと大人しくしていると、先生は首だけをこちらに向ける。
「宮園さん。あなたは、どう思いますか?」
「ひっ…。へ、平均点くらいではないでしょうかね。」
「ほぅ。」
先生は、目尻を細めて頷くとまた小日向くんの方を見る。
その表情は、全てを見透かした教祖のようで私から見ても少し……いや、結構怖かった。
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