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「単刀直入に言うと、小日向くんは三十点以下で、赤点。」
「だろうな…。」
「そうなの!?」
驚く私を、二人はぽかんとした顔で見る。
何か、変な事を言ってしまっただろうか。
私は、双方を見ておろおろとした。
「宮園さんってさ、反応いいね。「」
「全然良くないよ!ていうか、小日向くん勉強苦手なんだ、以外かも。」
「うん。俺、運動専門だから。」
「確かに、完璧な人はいないからね。」
「だよな!!」
「小日向くん、勉強しなさい。」
先生の一喝で、和やかになったかと思われた雰囲気は消え去る。
私と小日向くんは、目を合わせてお互い渋った表情をした。
「聞いた話によると今回の考査は、他の教科も赤点又はギリギリ。このままだと、期末考査で大幅に挽回しないといけない。できない場合は、夏休み無しになってしまうよ。」
「夏休み無し…。」
先生の言葉に、小日向くんは凍ったように固まってしまう。
それもそのはずだ。
高校生活で夏休みは、文化祭や修学旅行等の行事に負けないくらい楽しいだろう。
小日向くんのことだから、予定も沢山あるはず。
「これは、忠告だよ。そのために呼んだからね。ちなみに、宮園さんは成績に全然問題ないから大丈夫。」
「…はい。」
先生は、私の方を見て優しい声色で言った。
何とも言い難い雰囲気に、声が小さくなる。
「じゃあ、なんで宮園さん呼ばれたんだ?」
「あぁ。それは、前回のノートチェックでノート返すの忘れてたからついでに呼んだんだ。」
「それだけですか…」
「それだけ。思い出した時にやらないとすぐ忘れちゃうからね。」
そう言って先生は、ノートを私に差し出した。
たった1冊のノートで、昼休みに呼び出されるなんて思いもよらなかった。
しかも理由が、さすがおじいちゃんである。
「宮園さん、どんまい。」
「いや、小日向くんにだけは言われたくないか
ら。」
彼は、赤点をとり忠告されたばかりなのに、ヘラヘラと楽しそうに笑っている。
その様子を見て、自分の事のように心配になった。
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