第一章

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「大丈夫なの?」 「何が?」 「夏休みが無くなるって言われたばかりだから。」 「うん。多分大丈夫!!」 「多分って…」 笑顔で確証もないことを言う彼を、私は苦笑する。 先生は、諦めているのか眉を寄せ呆れ顔だ。 「そう言う宮園さんは?問題ないとは、言われたけど。」 「えっ、私?」 少しの不安から先生を見る。 先生は、目を細め笑顔で頷いた。 「とてもいい成績ですよ。今回の最高得点は、宮園さんだから。あれだけ綺麗にノートを板書してまとめていたし、評価も結構高いです。」 「本当ですか!!」 私は、安心して胸を撫で下ろす。 今回は、初回で簡単な方だからテスト期間に集中して勉強に取り組んだ。 勉強に捧げた日々を思い出し、頑張ったかいがあったとしみじみ感じる。 「最高得点!?めちゃくちゃ頭良いじゃん。」 「小日向くんが地なら、宮園さんは天だね。」 「それならさ、宮園さん勉強教えてよ。」 「私が小日向くんに?」 「それはいいかもしれないね。宮園さん頼んだよ。」 「宜しく、宮園さん!!」 淡々と話が進んでいく様子から、嫌な予感がした。 重要なことだから、もう一度心の中で確認する。 小日向くんは、勉強を除いてなんでも出来てフレンドリーなクラスの人気者。 反対に私は、”クラスには”友達がいないモブキャラ。 そんな私が、勉強を……。 「無理です!無理無理無理っ!!」 「なんでよ。」 「だって、……」 ────小日向くんは、クラスの人気者だからやっかみや嫉妬されたら面倒臭(めんどうくさ)いから。 なんて言えない。 それこそ、絶対に言えないから無理。 同じような分類の、美人とか可愛い子ならまだしも、 こんなモブ兼いもの私を、小日向くんと並べたら学校中の笑い者にされる。
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