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殿下の怒り
「何と言うことだ。このようになるまで
仕事をさせるとは至密はどうなって
いるのだ!テオ内官、至密尚宮を
今すぐここへ呼べ」
「はい、殿下」
側近の内官を呼び、尚宮を呼び出す
事は滅多にない。それ程殿下は
立腹していた。
その様子を間近で見ていたソアは
殿下の怒りをどうにかして鎮めようと
声を掛けたのと同時に、至密尚宮が
熙政堂に来てしまった。
「殿下に拝謁いたします」
「至密尚宮、ソアにここまで仕事を
させていた内人は分かったか」
「はい、殿下。アヒョンとダナでした。
位は尚正に昇格したばかりの者です」
「何と!内人の職務を管理する者が
見習い女官にこのような仕打ちを
するとは、呆れたものだ。至密尚宮
その2人をここへ呼べ!」
至密尚宮は既に2人を連れて来ていた。
2人の腕は縄で縛られている。
尚宮から罰を受けたのか、腕や脚に
赤い痕がついていた。
「アヒョンとダナ、2人の尚正の
位を剥奪、従九品に降格する。
部署も至密から洗踏房に異動
させる。更に罰として棒打ち
30回に処す。罰が終わった後
直ぐにここから去るように」
「殿下、お許し下さい!ここに
来る前にも罰は受けました」
「私に指図するな!お前達は
見習い女官に怪我をさせ、仕事を
押し付けたではないか。
無能な内人は熙政堂に必要ない!
内禁衛将、この者達を
この場で棒打ちせよ」
内禁衛将は殿下の護衛で、文武両道な
者しか選ばれない。護衛の頂点に
最も近い人物だ。そのような人に
棒打ちをされれば、どうなるか。
一気に緊張感が高まった。
命を受けた内禁衛将は棒を持ち
押さえ付けられた2人を打とうとした
その時
「殿下、どうかこの2人をお許し下さい!
もし2人をお許し下さらないなら
私が変わりに罰を受けます」
「何を言う!そなたに怪我をさせ
自分の仕事を押し付けたのだぞ。
この者達を庇って何になるのだ!」
「確かに、私は酷い仕打ちを受けました。
しかし、それは私が殿下から耳飾りを
頂いた事に嫉妬したからです。
怪我も直ぐ良くなると、医官様も
仰っていました。
どうか、棒打ちの命だけでも
お取り下げ下さい」
殿下はソアの命乞いを断る事は
出来なかった。最終的に2人は
罰を受けず、洗踏房に異動する事になった。
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