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ソアの努力
「殿下、私の件でご面倒をお掛けしました。
私がもっと手際よく出来れば・・」
「何を言うか、そなたは何も悪くない。
悪いのはあの内人達だ。これからは
私の側にいなさい、ソア」
ソアは顔を上げて、見つめた。
殿下は両手でソアの手を包み込む。
「私が起きてから寝るまでの間
側で仕えて欲しい。そなたが
また誰かに嫌がらせをされる
のではないかと思うと、心配で
仕方がないのだ」
「・・殿下。しかし、」
「これは王命だ。承諾するまで
この手は離さない」
ソアは少し迷っていたが、王命と
言われれば断る事は出来ない。
首を縦に振ると、殿下の表情は
一気に明るくなり、ソアを抱き締めた。
「で、殿下!?」
「すまない、嬉しさが込み上げて
しまった。そうとなればそなたに
渡す物がある」
引き出しから出した物は、銅で作られた
蝶の髪飾りだった。
「これは努力をして、功績が認め
られた者に与えられる物だ。
至密の中でも2人のみ与えられてる。
そなたの評定は聞いている。
提調尚宮、監察尚宮、至密尚宮らが
揃って褒める程だ。
日頃の努力を評価し、これを与える」
「有り難く頂戴いたします」
殿下の側に仕えるという事は側室に
会う回数も増える。これまで以上に
作法に気を付けようと、身を引き締めた。
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