殿下の為に

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殿下の為に

「おはようございます、殿下」 「おはよう、ソア。今日からよろしく」 テオ内官から殿下が起きる時間を聞き 事前に熙政堂へ向かっていた。 「ソア、耳飾りはどうした?今日は 身に付けないのか」 殿下は鋭かった。側室にお会いした時 この耳飾りを付けて入れば、内人の ように嫌がらせを受けるのではないかと 懸念していたのだ。 「申し訳ありません。見習い女官の位で 頂いた物を付けるのはまだ・・」 「そなたは評定も良いし、他の尚宮 からの評価も高い。何も気にする事は ない。私の思いも汲み取ってくれ」 (ふところ)に入れていた 耳飾りを取り出すと、殿下自らソアの 耳に付けた。 「やはり似合う。これからも ずっと付けて欲しい。私はそなたを 思って選んだのだ」 「分かりました。殿下のお気持ち お受け取りいたします」 まさか自分の為に殿下が選んだとは 思わず驚いたが、殿下の為に 見習い女官として働こうと心に刻んだ。
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