107人が本棚に入れています
本棚に追加
殿下の為に
「おはようございます、殿下」
「おはよう、ソア。今日からよろしく」
テオ内官から殿下が起きる時間を聞き
事前に熙政堂へ向かっていた。
「ソア、耳飾りはどうした?今日は
身に付けないのか」
殿下は鋭かった。側室にお会いした時
この耳飾りを付けて入れば、内人の
ように嫌がらせを受けるのではないかと
懸念していたのだ。
「申し訳ありません。見習い女官の位で
頂いた物を付けるのはまだ・・」
「そなたは評定も良いし、他の尚宮
からの評価も高い。何も気にする事は
ない。私の思いも汲み取ってくれ」
懐に入れていた
耳飾りを取り出すと、殿下自らソアの
耳に付けた。
「やはり似合う。これからも
ずっと付けて欲しい。私はそなたを
思って選んだのだ」
「分かりました。殿下のお気持ち
お受け取りいたします」
まさか自分の為に殿下が選んだとは
思わず驚いたが、殿下の為に
見習い女官として働こうと心に刻んだ。
最初のコメントを投稿しよう!