殿下の決意

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殿下の決意

「大妃様に挨拶いたします」 「殿下、どうされたのです? 何か問題が起きましたか」 殿下はソアを側室にする為母である 大妃に報告しに来た。 「大妃様、お話があります。至密に 配属された見習い女官のソアを 側室に迎えたいと思っています」 「何と!お決めになったのですね。 その娘は尚宮達からの評価も高いと 聞いています。 しかし殿下、後宮は危険な場所です。 特に 貴人には気を付けなさい。 あの女は側室を何人陥れたか 分かりません」 「承知しています。貴人は証拠を 残しません。もし見つかれば 位を剥奪出来るのですが」 側室の中で今一番偉いのが従一品の 貴人であり、中殿や正一品がいないため 事実上の最高位だ。自分の立場が危ういと 思えば、直ぐ行動し側室を陥れる恐ろしい 女性だった。 「絶対に手出しはさせません。 貴人側の臣下にも気を付けます。 ソアはの熙政堂の近くに堂を建て そこに住まわせます」 「それは良い案だ。私も他の側室に 動きがないか見張らせよう」 殿下は挨拶を終えた後、ソアを側室に する為の証書を書いた。 そして針房に頼んでおいたチマチョゴリを ソアの元へ届ける事にした。 「これは明日ソアが身に付ける物だ。 そなたの友人であるソアとジウが 刺繍したようだ」 「本当ですか!やはり2人とも器用 です。他の仕事もあるのにこんなに 丁寧に刺繍してくれて。 殿下、明日の式が終わった後 2人に会いに行ってもよろしい ですか?」 「ああ、たまには休むといい。 友は大事にしなさい。そなたが 大事にすれば、向こうも思いを 返してくれるだろう」 殿下はソアの肩に手を置き自分の方へ 近づけた。2人は窓から見える満月を見て 思いに耽っていた。
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