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大きな事件
淑媛の懐妊が発覚した後の後宮は
大忙しだった。今まで暮らしていた
部屋から離れ、熙政堂の近くに移動した。
「淑媛媽媽、お食事をお持ちしました」
「ありがとう、ナユン尚宮」
以前なら完食できた量の食事だが今は
汁物しか口にしない。いつも通り
器を持って飲もうとしたその時
器が黒くなっていった。淑媛は恐ろしくなり
ナユン尚宮を呼んだ。
「淑媛媽媽、どうしました!」
「ナユン尚宮、この中に毒が入っている。
毒に詳しい医官をここへ呼びなさい。
毒味をした内人、運んで来た者も
調べよ」
「はい、媽媽」
まさか自分の食事に毒が入っているとは
思わず驚いていたが、自分が殿下の子を
宿した事に不満を持つ者が行ったのだと
確信していた。
「この子は私が絶対に守る」
淑媛は実家に手紙を書き、ジユに届ける
ように頼んだ。
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