ソア達の配属先

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ソア達の配属先

「これより刺繍の試験を開始する。始め」 それから半年が過ぎた頃、配属される 場所を決める為、見習い女官達は 様々な試験を行っていた。 ソア・ジウ・ユナの3人は特に 成績が良く、尚宮からも高い評価を 得ており、至密や針房といった 王や王妃の為に働く部署に配属 されるのではないかと皆が噂していた。 「ここまで。提調尚宮様と私で 採点する。それまで各自の部屋で 待機するように」 「はい、監察尚宮様」 2時間もの間、刺繍をしていた 見習い女官達は皆、疲労困憊(ひろうこんぱい)といった 様子だった。ソアもその内の一人だ。 「今日の試験は今まで以上に 疲れたわ。私、あまり刺繍が 得意じゃないから」 「意外ね。でもソアの花の刺繍は とても綺麗だった。多分今回も 一位だと思う」 ソアの手には何度も針で刺した痕が 残っていた。試験の前に刺繍の本を 読み、仕事が終わった後練習 していたのだ。 3人で試験の話をしていると 提調尚宮と監察尚宮の声がした。 「今回の試験の評価を発表する。 ユナ三位、ジウ二位、ソア一位。 今回もソアが一位だ。 3人ともよくやった。歴代の 見習い女官の中でも成績は 上位だろう」 提調尚宮は嬉しそうに話していた。 見習い女官の場合掃除が出来ても 刺繍が出来ない、といった感じで まだ完璧ではないのだ。 しかし、この3人は内人のような 仕事が既に出来ていた。 「ソアと一緒に仕事をしていると 自然に覚えていました。作法や 規則も分かりやすく、私達に 教えてくれました」 「ソアがいなければ、ここまで良い 成績を残すことは出来ていなかった と思います」 ジウとユナは、この期間ソアに 教わった事、体調が優れない時に 仕事を手伝ってもらった事などを 尚宮達に話した。 「ソアは本当に仲間思いだな。 この話を聞いて、私の考えは 正しいと確信した。監察尚宮 先程の決定に異議はあるか」 「いいえ、提調尚宮様。 私も賛成いたします」 「では、これからそなた達の配属先 を発表する。ユナとジウは針房 ソアは至密に配属する」 この決定を受けた3人は顔を合わせ 喜びの表情を見せた。 「これから更に見習い女官して日々 精進します」 誓いの言葉を告げた3人を尚宮達は 温かい目で見ていた。
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