殿下と初対面

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殿下と初対面

「今から殿下にご挨拶に行く。 先程教えたように礼をしなさい」 「はい、至密尚宮様」 殿下の公務が終わった後 今日から配属された事を報告する 予定になっていた。 見習い女官で殿下を拝謁できる 確率は低い、内人でさえそうだ。 ソアは失礼がないように身だしなみを 整えて、熙政堂に向かった。 「殿下に拝謁いたします」 至密尚宮と共に挨拶をする。 自分の手が震えるのが分かった。 それだけ緊張していたのだ。 「そなたが新しく配属された 楽にせよ」 「はい、殿下」 姿勢を戻し、視線を下に向ける。 見習い女官が殿下と視線を 合わせる事は不敬罪にあたるからだ。 しかし、殿下は思わぬ事をソアに 告げた。 「・・顔を上げよ、ソア」 「えっ」 周りがざわつき始めた。不敬罪に あたるというのに、殿下を見る ことは出来ない。しかし、殿下の 命は断れない。ソアはゆっくりと 前を向く。 「皆、下がれ。この者と話がしたい」 「はい、殿下」 内官や至密尚宮、内人などが一斉に 出ていく。ここにいるのは ソアと殿下の二人だけになってしまった。
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