嫌いだった

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嫌いだった

 「ほら、これも食べ。いっぱい食べな。」  お腹いっぱいって言っているのに、無理に食べさせて来る父が嫌いだった。結局私はお店の中で吐いてしまった。  「事業参観?俺がいくわ。」  皆んなお母さんが来てくれる中、1人だけお父さんで、それが目立って嫌だった。  「ごめんなぁ。」  お母さんがいない家はうちだけで、何でいないのって聞くと、困った様に笑うお父さんが苦手だった。  「車が変?何で早く言わんの!」  すぐ怒るお父さんが嫌いだった。だから、言いたいことがあってもなかなか言い出せなかった。  「はらへったー!ご飯何?」  いつのまにか、食事作りが私になっていた。当たり前の様にご飯を待つお父さんに腹が立った。  「お前、相手おらんのか。外でんと、誰が貰ってくれるか。」  いちいち、一言多い、デリカシーの無いお父さんが嫌いだった。  そして今、私は結婚する。緊張しているのか、隣を歩くお父さんは少し震えていた。  「ほら、これも食べ。いっぱい食べな。」  皆んなより体の小さい私を、いつも心配してくれていた。  「事業参観?俺がいくわ。」  普段は着ない服を引っ張り出して、一人ファッションショーをして、窮屈なのは嫌いなのに、締めすぎなくらいにきちっとネクタイをしていた。   「ごめんなぁ。」  いつもは飲まないお酒をいっぱい飲んで、一人夜に落ち込んでいた事をトイレに起きた時に知ってしまった。  「車が変?何で早く言わんの!」  明日私が仕事だからと夜暗いなか、懐中電灯の灯りだけで作業してくれていた。  「はらへったー!ご飯何?」  何でも美味しいと言って食べてくれていた。 とても、不器用で料理が出来ないお父さんが心配です。私がいなくてもご飯作れるかな?  「お前、相手おらんのか。外でんと、誰が貰ってくれるか。」  いつも、私が一人になるんじゃないかと心配してた。タバコだってやめてくれたよね。  私を貰ってくれる物好きがいたよ。  大嫌いで大好きなお父さん。ありがとう。  心から感謝を込めて、幸せになります。
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