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焦るのっぺらぼうだが、表情がないためどれほどの焦りかはよくわからなかった。
慌てるのっぺらぼうに反して私は、のぺっとしたその顔を見つめてポツリとつぶやいた。
「……でも、うん。あなたキレイだわ……」
「え!?」
私のつぶやきに、のっぺらぼうは驚きの声を上げた。(一体どうやって声を出しているのかは、もう考えない)
「つるつるのお肌……毛穴もない美白で……羨ましい!!」
「え、そ、そうかしら?」
「うん! つるっつるのその肌はまるで……たまご! そう、剥きたてのゆで卵みたいよ!」
「そ、そんなに言われると、照れちゃうわぁ〜」
頭をポリポリ、頬を桃色に染め上げたのっぺらぼうにさらに近づき、凝視をした。
うわぁ、本当につやつやしてる!
う……羨ましい!
「それなのに……私の肌ったら、こんなに脂てかてか、ニキビでボロボロになっちゃって……」
己の頬に手をやると、のっぺらぼうとのあまりの違いに泣きそうになる。
いやもう、泣いていた。
「うぁーん! 私もつるつるのピカピカになりたいよー!」
「ええ!? ちょ、ちょっとあなた!?」
「その美肌ちょうだい〜! うわーん!」
「な、泣かないで、落ち着いて!? ……お話、お話しましょう!?」
その後、私はのっぺらぼうに慰められながら無事に帰宅したのである。
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