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第31話 お嬢と真知子
「入るぞー」
電気ケトルを持った顧問が入ってきた。美咲は喜んだ。
「あ、電気ケトル!日本茶が飲める」
「家で使ってたやつだが、新しいのを買ったからここに置いとく。自由に使いたまえ。練習はどうだ?順調か?」
みこは自分の歌が順調ではないので、答えに困った。
「いや、そうだな、さっき譜面を渡したばかりだから順調もなにもまだわからんな。失礼。一度音を聞かせてくれ」
真知子は座ってコーヒーを飲みながら演奏を聴いた。
お嬢は譜面通り完璧に弾いた。
「うん、さすがだな。次、ギター」
亮もなんとか譜面通りに弾いた。
「よし、次は部長。ギターに合わせて歌ってみろ」
みこは注目されながら下手な歌を聞かれるのが恥ずかしく、その歌声は小さかった。
「今歌ってて楽しかったか?」
「いえ…恥ずかしくて…」
「自信は持たなくても良い。楽しめ。そんな小声で歌っても楽しくないぞ」
「は、はい」
困った。楽しめと言われても、亮に下手な歌を聞かれるのは恥ずかしい。どうしても声が小さくなる。
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