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真知子はゆっくりとコーヒーを飲み干した。
「おかげでコーヒーの味で音の良し悪しが分かるようになったよ。良い音を聴いてるときのコーヒーは実に美味い、しかし逆は不味い」
みこは元カレの前でコーヒーを飲みながらキーボードを聴いている真知子先生の姿が目に浮かんだ。
「すいません。私の歌もバランスが悪くて」
「ん?君はずっと楽器をやってきた泉や亮とは違うぞ。大きな声を出して楽しんで歌ってる姿を生徒会に見せてやれ」
「はい…」
「では職員室に戻る。美咲、あとで動画の…特に音のバランスを泉に聴かせてやってくれ。落ち着いてからな」
真知子は部室の扉を半分開けたところで思い出したように言った。
「あ、肝心なこと言い忘れた。その簡易ベッド、私専用だからな」
扉が閉まった。部室は静まり返っている。
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