第32話 真知子の考え

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 真知子は職員室でもコーヒーを飲んでいた。  少しキツく言い過ぎたかも知れないな。バランスが悪く不快だったのは事実なんだが…。  せっかく良いものを持った連中が集まってるんだ、(てい)では無くちゃんと活動したら、きっと何かをやらかしてくれると思う。  真知子は個性的な4人が、引き寄せあうように同じ同好会に揃ったことを偶然で片付けたくは無かった。  あの連中は個性的だ。しっかりとした自分というものを持っている。まとまって活動しろと正面から言ったところで個性がぶつかり合う可能性が高い。  だが、自分たちで考えて同じ方向性を見つけたときの結束力には期待できる。  教師としては、時間をかけて指導するのが正しいのだろうが、高校の3年間はあっと言う間に終わってしまう。  個性の強い彼らが納得行くまで指導するのは時間がかかるだろう。それでは時間がもったいない。  それなら嫌な教師だと思われても課題だけ突き付けて、どうするかを考えてもらったほうが早く結束出来る。  特に今回の練習期間は短いから彼らなら今日中に答えを出せるはずだ。 「別に指導するのが面倒くさいわけでは無いぞ。人から(さと)されるよりも、自分で考え出した答えのほうが素直に身に付くからな。だから私はそのヒントを与えて答えが間違った方向に行かないようにするだけだっ」 「宮前先生っ、独り言がうるさいですよ」
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