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お嬢と美咲が部室に戻ると、亮とみこは膝がくっ付きそうな程の距離で座り、歌の練習をしていた。
「お嬢、大丈夫か?」
「心配かけました、もう大丈夫です。落ち着きました。美咲さん、さっきの動画を見せてください」
お嬢はヘッドフォンをして、さっきの自分達の演奏を幾度か聴いた。
他の演奏のことを考えていない尖った音は確かに不快だった。
バランスが最悪だ。先生は「そこそこ形になっていれば」と言ったけど、これはまだ形になっていない。その原因は私だ。
「亮さん、合わせて練習をしましょう。美咲さん、動画を撮ってください」
「真っ正面から録画だね!」
前向きになったお嬢を見て、みこと亮も安心した。
「じゃあまどろみさんも歌って、今練習したみたいに大きな声で」
「うん、わかった」
絶対下校の時間が近づくまで何度も練習し、動画を確認した。
「形になってきたかなあ。明日は私、レッスンがあるから同好会には出られません。明後日先生に聴いてもらいましょう。ギャフンて言わせたいです」
『うん!そうしよう!』
「そうだ、お嬢、その電子ピアノは録音機能が有るから1回録音しといて。お嬢が休みの日はそれを再生して練習する。それから…発声練習用にドレミファソファミレドの音階を何回か繰り返しで入れといて」
「はい、亮くん。わかりました!」
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