第35話 桜谷香風

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 お嬢が帰ったので、あたしは少し遅めに部室に行った。  誰だろう?  ツインテールの小柄な女子が扉の隙間から部室を覗いてた。  声を掛けたら逆ギレするし、仕方がない、腕を掴んで階段の踊り場まで連れて行った。 「あんた誰?部室を覗いて何やってんの?」  あ、同好会の大柄女じゃないの。ちょうどいいわ、聞きたいこともあるし。 「わたしは亮が中学の時、(だん)バス(男子バスケ部)の横で練習していた(じょ)バスの子の友達です。亮を観察しています!」  それって西中(にしちゅう)出身ってことよね。つまり亮の中学時代を知っている。ちょうどいいわ、聞きたいこともあるし。 「あたしは1組の御前浜(おまえはま)美咲、あんたは?」 「名乗るほどのものではありませ…痛い痛い痛い、わたしは3組の桜谷(さくらだに)香風(このか)。逃げないから腕を離してください、暴力(ぼ~りょく)反対(は~んた~い)」  小学生か、面倒くさい子だ。
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