第36話 違和感の正体

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「昨日聴いたピアノの音は刺々しくて不快なものだったが、それがお嬢の感情だ。それに対してこの録音された音は、お嬢が練習のために譜面通り丁寧に弾いたものだろう。(てい)なんだからそれで良いじゃないかと思うかもしれないが、楽器を続けるつもりならそこは(こだわ)ったほうがいい」 「はい」 「だが、録音を使って練習するというのは良いぞ。よく考えたな」  相変わらず音楽に対して厳しい真知子だが、違和感を感じていたあたしたちには納得のできる意見だった。
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