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「私は少し寝る」
「いや、今日どうするかじゃなくて…」
部長としての緊張の糸が切れたのか、溜まっていた睡眠不足を我慢できなくなったまどろみさんは机に突っ伏して寝始めた。
「あたしたちの為に頑張ってくれてたし寝かしてあげようよ。寝てても記憶されるから大丈夫だよ」
あたしは日本茶を皆に出しながら言った。
「私はピアノレッスンの無い日はここに来たいなあ。たまには野球部を見に行きますけどね」
「今日は行かなくていいの?」
「今日はここに居ます!」
お嬢はお茶をふうふうと冷ましながら飲んだ。
北山高校はいずれかの部活に所属しなければならないが、幽霊部員となって顔を出さないことは可能である。
でも、お嬢は部室に来ることを選んだ。
あたしも言わなきゃ。
「あたしもそうね。スマホを持ってあちこち写真を撮りには行くけど、1日1回は顔を出したいな…その時は、みんなにお茶を入れてあげる」
「俺も来るよ。ギターの音を思いっきり出して練習できるし、放課後ここに来るのが日課になってる」
亮も部室に来ることを選んだ。
「まどろみさんもきっと来るよ。だから明日…明日はお嬢がピアノレッスンだから明後日、みんなが居るときに…まどろみさんが起きてるときに今後の活動方針を決めよう、それで良いよね?」
「さんせ~い」
亮は嬉しかった。またみんなで何かを出来る。
そうだ、美咲が歌を歌えるようにするのを次の目標にしたらどうだろう。
でもこの話は美咲が居ない時にしなきゃな…亮は思った。
職員室。
「よく考えたまえ」などと格好付けて部室を出たが、しまった、もう一杯コーヒーを飲んどくんだった。今さら戻りにくいしな。みんなが帰ったあとで、こっそり飲みに行こう。
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